著作権切れ作品のテキストを電子化して世に出すためには、その元となる底本(書籍、雑誌等)が必要になります。
しかし有名作家の作品は青空文庫などで公開されている事が多く、手に入れやすい作品は大方どこかで電子化がなされているので、まだどこにもない著作権切れテキストを探すのは意外と困難です。
そこで、テキスト入力等に用いる底本を入手する方法を検討してみたいと思います。
1.図書館で借りる。
青空文庫でもこの方法がよく用いられているようです。
中央図書館などなら、全集や知名度の低い本などもそろっており、底本になりえるものは沢山あるでしょう。
しかし返却期間までに入力、校正を終わらせるか、または全ページコピー(もしくはスキャン)するなどしなければなりません。
特に後者は手間や著作権の点から考えても問題が多く、よっぽど短い作品でないと出来ないかもしれません。
本を裁断してブックスキャナ等で一気にスキャンする方法も、図書館から借りた本には使えないため、こんな感じの方法で簡易的にコピーするのが関の山でしょうか。
2.ネットで底本を手に入れる(デジタルに)。
最近は、蔵書の全文を画像などにして公開している図書館や個人サイトが幾つか存在します。
特に、近代デジタルライブラリー(http://kindai.ndl.go.jp/index.html)では、著作権の切れた本を画像で大量に公開しています。
この中から底本になりえるものを選びだして、テキストとして入力、校正をするということも可能と思われます。
他に、Journal@rchiveなどには、古い学術論文等が多数収録されているため、この中からもテキスト入力源が多数見つかります。
すでにインターネットで読めるものを、改めてテキストデータにして公開する必要性があるのかといわれると、個人的には一抹の疑問を感じますが、テキスト文書にすることで自動読み上げができるなどメリットも多々あることでしょう。
ただしそれを底本にして実際に作業を行うのなら、それぞれのサイトの使用規約などに違反しないように気をつけましょう。文中に挿入されている画像の無断転載(挿絵の著作権が切れていない可能性もある)などは、場合によっては危険と思われます。
3.ネットで底本を手に入れる(アナログに)。
2.とは違い、ネットショップやネットオークションなどで本物の本を入手して、入力作業に使うという方法も考えられます。ネットなら絶版の本や古書も手に入る可能性がありますし、オークションなどでは運がよければとても安く手に入れることも出来ます。
ただしこれは検索や発見が大変です。とりあえず、当サイトの著作権切れ著者一覧などを参考にしながら、気になる名前を検索して探す、という位しかできないでしょう。それでも、街の中古店を回るよりかは見つけやすいかもしれません。
ちなみに、ヤフーオークションなどで探す際のちょっとしたテクニックはあります。
本、雑誌カテゴリーで検索ワードを「昭和1」「昭和2」などとすると、昭和十年代、昭和二十年代の本がある程度検索できます。
同様に「193」「194」などとすると1930年代、1940年代の本が引っかかります。この年代の本は著作権切れの作者のものが混ざっている可能性が比較的高いので、今まで知らなかった底本が出てくる可能性もあります。
また、市村さん次郎(「さん」は「王+贊」)など変換できない漢字の作者名は、「市村○次郎」などとしている出品者もいます。
4.町の古書店を探す。
- これが最も地道ですが、底本になり得る本を探し当てるのはなかなか困難です。
- 古書も扱う大きな中古書店なら、全集なども売っていたりして比較的手に入れやすいとは思いますが、ブックオフなどのチェーンの中古書店では、まず著作権の切れた作家を探すことすら困難です。
- とりあえずどちらに行くにしても、著作権の切れた作家一覧などをコピーして持っておき、確かめながら探すということになるでしょう。
- また、書店(古書店)で探す場合は、次のような傾向を頭に入れておけば、少しは探しやすいかもしれません。
- ・有名出版社の文庫のものは、古い講談社学術文庫や岩波文庫などを除いて、電子化されていない作品はほとんどありません。
- ・「日本文学全集」「日本近代詩全集」などといったものには、案外まだ青空文庫などにない作品がまぎれていたりします。100円本コーナーなどにそのようなものがあれば、よく見てみるのもいいかもしれません。但し、抜粋なども多いので、編著者の著作権が絡んでくることもあり注意が必要です。
- ・ブックオフなどのチェーン店のハードカバー棚には、著作権切れの作品はかなり少ないです。青空文庫で手に入らない作品ということでいくと、特に小節では皆無といってもいいかもしれません。
- ・古書にはまだまだ手付かずの作品が多く残っています。特に、小説以外のジャンルは未開地だらけです。ただ専門書は図表だらけでテキスト化しずらいということもありますので、入力初心者は注意が必要です。
- 他にもこうやって底本が手に入る、という情報をお持ちの方は、ご教示いただけると幸いです。